明菜ちゃんじゃあるまいし。
そんなことを考えるなんて、本当に失礼にも程がある。
だけど。
あの女性店員。
メイクもあんまりしてなかったし、全体的に地味な感じだけど。
イヤリングだけ、あんなにオシャレするんだ?
……ナチュラルテイストのこのお店に、彼女の雰囲気はとても合っている。
なんていうか、丁寧に暮らしていそうだ。
イヤリングがオシャレでもいいじゃない。
あのイヤリングと彼女、そんなにちぐはぐでもないし。
メニューを決めて、私は彼女の姿を探した。
目が合うと、女性店員はニッコリ微笑んで近寄ってきてくれた。
ホッとする感じのする人だな。
「お決まりですか?」
「はい、ウインナーコーヒーにします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
私はまだ彼女と話したい気持ちになって、
「あの……」
と、小さな声で話しかけてしまった。