私はその時。

ふと、女性店員をじっと見てしまった。

女性店員の、アクセサリーをした耳を。





「……?何か?」



女性店員が不思議そうな表情をする。


ハッとして、
「ごめんなさい」
と、謝った。



「あの、なんていうか、イヤリングですか?それ……。ピアスかな?」



「あ、イヤリングです」



「キレイだなって思って。ごめんなさい、本当に。失礼なことを……」




慌てて謝ったけれど、本当は「キレイだな」と思ったのは、一瞬で。


他のことを考えていた。





女性店員はニッコリ笑って、
「そんな、失礼なんて。ありがとうございます、嬉しいです」
と言った。




カウンターの中に帰って行く女性店員の背中を見つめながら、思った。


……あのイヤリング、知ってる。


私が誕生日に自分で買ったネックレスと、同じアクセサリーブランドのものだ。



インターネットでも買えるし、店頭でも置いてあった。


結構、値の張るイヤリングだったけど。


このお店、そんなに給料がいいのかな?



……いやいやいや。