「妹がいるんだ？」


「はい、大学生なんです。でも全然似てないんですよー。妹は、なんていうか、地味？」


「……地味、ね」
確かにあなたからは想像が出来ないね。
心の中でそっと毒づく。


「はい。でもモテるんですよー。地味なんですけど、モテモテで……！この間も彼女がいる男の子に言い寄られててー。はじめはその気になっていたらしいんですけど」

明菜ちゃんは自分のネイルを見つめて話す。


「なんか、思っていた感じと違ったって言われたらしくて。でも、その男の子、なんて言うんですか？口先だけ？な感じらしいです」


「ふーん？」


「でね、真希さん。私が言いたいのは、そういう男の子じゃダメってことです」


「そうだろうね？」


一体何の話を聞かされているんだ？

そう思うと、私の返事も適当になっていく。


口先だけの男がダメ。

当然のことを、長々と話すな。



「それでお金持ってたら、また話は別になりますけど」


明菜ちゃんは恐ろしいことを、さらりと言った。