私と笹木さんは顔を見合わせた。
ほんの一瞬だったけれど、気持ちは同じだと確信している。
……だから、どうしたっていうんだよ。
焦っているんなら現実をしっかり見て、芸能人を追いかけるのをやめろ!
そんな気持ち。
「29歳で独身の自分なんて、信じられないですー。なんかー、24歳とかで?結婚してる予定でしたー」
明菜ちゃんはひとり、クスクス笑っている。
それは、嫌味なのかな?
32歳の私に対する、静かな攻撃なのかな?
「はぁ〜、苺になりたーい!苺になって、優大と結婚して、お金持ちになってー、一生贅沢したーい!」
「その願望の間に、お金のことを挟むあたり、怖いよね」
笹木さんがチクリと言った。
「そうだよ、明菜ちゃん。そこはピュアなファン達に怒られるよ」
私も参戦する。
「えー、でも!お金持ってますよね、優大!あんなに売れてるんだもん!きっと贅沢な生活してるんですよー!苺になったら、私もそこに加われるんですよ!?」
悪気なく言うところが、余計に怖い。