「え?いや、そんなことないよ」

むしろ興味ありすぎて結婚まで考えてるよ、とは言わなかった。


「『苺みたいな人』って?」
笹木さんが話を戻す。


「あ!それそれ!去年の秋でしたっけ?優大がインタビューで聞かれたんですよ。理想の女性……?とか、なんとか。それで答えた言葉が、『苺みたいな人』なんです」

「不思議な回答ー……」
笹木さんは白米を口に運びながら、もうあんまり興味が無さそうだった。


「どういう意味だと思いますかー?」


明菜ちゃんは薄ピンク色に塗ったネイルが輝く両手で、コーヒーカップを軽く包む。


「それさー、知ってどうするのよ〜」
笹木さんが少しだけ笑った。


「あー、笹木さん、笑ったぁ!ひどーい!」
明菜ちゃんも笑顔で返す。

「いいなぁ、笹木さんは旦那さんもいて、お子さんだっているし。そりゃー、余裕ですよねー。私なんか今度29歳ですよ!?焦りますよー」