地元の県立高校に進学した私は、大学こそは東京の大学へ!と意気込んでいた。
だけど両親が許してくれず。
我が家の経済的にも無理だと思い知り、大学進学で上京することは諦めた。
地元の大学で勉強しつつ、アルバイトに明け暮れた。
アルバイト代は美容グッズや洋服に変わって消えていった。
就活は東京都内に絞って。
何社も落ちたけれど、たった1社。
現在勤めている会社だけに受かった。
運命を感じた。
これで、東京行きは決まった。
これで、優大の住む街に行ける。
同じ場所で頑張れる。
だけど。
実際にこの街で生活していても。
優大とばったり会う、なんてことは決してない。
約束をして会えたとしても、少しの時間で。
優大は芸能人なんだな。
すっかり遠い存在なんだな。
そう痛感している。
スマートフォンがまた振動した。
……もしかして、優大かな?
期待して画面を見る。