「あはっ」

鏡に向かって、乾いた笑い声が漏れた。


「あはははっ」


自分の笑い声を聞きながら、私の心の中で何かが潰れる音が聞こえた気がした。






数日が経った。



その間、私は部屋から出ていない。



食べることも億劫で、冷蔵庫の中にあったゼリーや栄養補助食品などを適当に食べているだけで、料理もしていない。



ベッドの中で、つけっぱなしにしているテレビ画面をただ眺めていた。





スマートフォンはついに電池残量が無くなり、ローテーブルの上で静かに突っ伏している。







運命の人かもしれない。


そう思っていた。


鈴井くんのことを。






高校を卒業するまでは、彼氏という存在はいなかった。

別に普通に過ごしていただけだけど。

女子校育ちでもなく、共学だったけれど。


彼氏、なんて出来なかった。


だけど。