その後は、しばらく葛城山から見える光景を少し歩きながら見てまわり、2人は今回の遠出を満喫することができた。
そしてそろそろ帰ろうかという話しになり、2人は馬に乗って葛城山を降りることにした。
韓媛は馬に揺られながら大泊瀬皇子に話しかけてきた。
「皇子、今日は本当に有難うございました。とても楽しかったです」
韓媛は笑顔で彼にそう答えた。彼女自身これ程楽しい日を過ごせたのはわりと久々だと思う。
今の家での生活に不満はないが、やはりたまには羽を伸ばしたいものである。
「まぁお前がそんなに喜んでくれたら俺も連れてきた甲斐がある。それと今日お前が持っていた短剣のことだが」
「え、短剣のことですか?」
韓媛はいったい何だろうと思い彼の顔を見る。
「先日の炎の中で見たことと、今日の件を見て思ったのだが。今までにもその短剣を使ったことがあるのではないか」
大泊瀬皇子にそういわれて韓媛は一瞬「ビクッ」とする。
(どうしよう、これはもう素直に答えた方が良いかしら)
「はい、そうですね」
それから韓媛はこれまでの経緯を順を追って彼に説明することにした。そうしないと彼もずっと気になったままだろう。
そして韓媛が話しだすと、彼はとても興味深そうにしながら、彼女の内容を聞いていた。
そして皇子は韓媛の話を聞き終えると、彼もようやく納得することができたようだ。
「なるほど。葛城能吐は納得できるが、まさか軽大娘の姉上までお前が関わっていたとは……」
ただ彼はそのことに関して特に彼女を責めるつもりはないらしい。
「まぁお前の母親の形見だ。それは引き続き持っていたら良い。それに今聞いた話だと、お前はその剣を持つことによって自身を守ることができそうだ」
「はい、私もきっとそうだと信じたいです」
韓媛からしてみれば、これは母親だけでなく、今は父親の円の形見でもある。
それからしばらくして大泊瀬皇子はふとあることを思い出した。
「そういえばお前にこの話しはしていなかったが。葛城円の家が焼かれて無くなったあと、眉輪と円の遺体は何故か見つからなかった」
「え、大泊瀬皇子。それは本当なのですか!」
韓媛は皇子の話しを聞いて、思わず目を丸くしてとても驚く。
「あぁ、本当だ。それにあれだけの火を円1人で付けたとは中々考えにくい。恐らく彼に協力した者がいたのだろう。
それと何人か逃げそびれた者もいたようで、その遺体も混ざってしまった。なので結局誰が誰の遺体かは分からずじまいだ」
韓媛はそれを聞いてふと考えてみる。彼女の父親は、家の使用人や彼に支えていた者達からとても慕われていた。
であれば彼を助けようと動く者がいてもおかしくはない。
そしてそろそろ帰ろうかという話しになり、2人は馬に乗って葛城山を降りることにした。
韓媛は馬に揺られながら大泊瀬皇子に話しかけてきた。
「皇子、今日は本当に有難うございました。とても楽しかったです」
韓媛は笑顔で彼にそう答えた。彼女自身これ程楽しい日を過ごせたのはわりと久々だと思う。
今の家での生活に不満はないが、やはりたまには羽を伸ばしたいものである。
「まぁお前がそんなに喜んでくれたら俺も連れてきた甲斐がある。それと今日お前が持っていた短剣のことだが」
「え、短剣のことですか?」
韓媛はいったい何だろうと思い彼の顔を見る。
「先日の炎の中で見たことと、今日の件を見て思ったのだが。今までにもその短剣を使ったことがあるのではないか」
大泊瀬皇子にそういわれて韓媛は一瞬「ビクッ」とする。
(どうしよう、これはもう素直に答えた方が良いかしら)
「はい、そうですね」
それから韓媛はこれまでの経緯を順を追って彼に説明することにした。そうしないと彼もずっと気になったままだろう。
そして韓媛が話しだすと、彼はとても興味深そうにしながら、彼女の内容を聞いていた。
そして皇子は韓媛の話を聞き終えると、彼もようやく納得することができたようだ。
「なるほど。葛城能吐は納得できるが、まさか軽大娘の姉上までお前が関わっていたとは……」
ただ彼はそのことに関して特に彼女を責めるつもりはないらしい。
「まぁお前の母親の形見だ。それは引き続き持っていたら良い。それに今聞いた話だと、お前はその剣を持つことによって自身を守ることができそうだ」
「はい、私もきっとそうだと信じたいです」
韓媛からしてみれば、これは母親だけでなく、今は父親の円の形見でもある。
それからしばらくして大泊瀬皇子はふとあることを思い出した。
「そういえばお前にこの話しはしていなかったが。葛城円の家が焼かれて無くなったあと、眉輪と円の遺体は何故か見つからなかった」
「え、大泊瀬皇子。それは本当なのですか!」
韓媛は皇子の話しを聞いて、思わず目を丸くしてとても驚く。
「あぁ、本当だ。それにあれだけの火を円1人で付けたとは中々考えにくい。恐らく彼に協力した者がいたのだろう。
それと何人か逃げそびれた者もいたようで、その遺体も混ざってしまった。なので結局誰が誰の遺体かは分からずじまいだ」
韓媛はそれを聞いてふと考えてみる。彼女の父親は、家の使用人や彼に支えていた者達からとても慕われていた。
であれば彼を助けようと動く者がいてもおかしくはない。