丁度その時だった。彼女のいる部屋の外から女性らしき人の声が聞こえてきた。
「韓媛様、今少し宜しいでしょうか?」
彼女はこの家に仕えている使用人の女性で、名を布津与といった。
「まぁ布津与、どうかしたの。とりあえず中に入ってきてもらって大丈夫よ」
韓媛にそういわれたので、彼女はそのまま静かに部屋の中に入ってきた。
彼女は丁度40歳になったばかりの女性で、彼女にも子供はいるようだが、その子供達は既に成人しているとのことだった。
「韓媛様、突然で申し訳ありません。先ほど韓媛様に会いたいと訪問されてきた方がおられまして……」
(え、私に会いに? 一体誰がきたのかしら)
葛城蟻臣が来るのはまだ先だと聞いているので、誰が自分に会いにきたのか彼女は全く想像がつかない。
それに布津与の様子もどこか戸惑い気味のように見える。
「それで、布津与。誰がこられたの?」
すると布津与は少しいいにくそうにしながらいった。
「それが今さっき大泊瀬皇子がこられまして、皇子が韓媛様に会わせて欲しいとおっしゃられました」
韓媛は意外な訪問者の名前にとても驚く。今はただでさえ大王が不在でとても大変な状況だ。なので当然彼も忙しくしているに違いない。
(どうして大泊瀬皇子がここにきているの?)
だが相手が自分に会いたいといってわざわざここまできている。ならばさすがに会わない訳にはいかないだろう。
それに前回の大王の暗殺のこともあるので、その件で何か自分に話しがあるのかもしれない。
彼女は葛城円唯一の近い肉親である。
「分かったわ。大泊瀬皇子に会うことにするわ。それで彼はこの部屋まできてくれるのかしら?」
「そうですね、ではその旨を大泊瀬皇子にお伝えしてみます。 それでもし何か問題があるようなら、また韓媛様に伝えに参りますので」
布津与はそういうと大泊瀬皇子に韓媛の伝言を伝えるため、彼女の部屋をいそいそと出ていった。
それから韓媛は自身の部屋で静かに待つことにする。
そして暫くして人の足音が聞こえてくる。誰かが彼女の部屋の前までやってきたようだ。
「韓媛、大泊瀬だ。中に入っても良いか」
どうやら彼は韓媛からの伝言を聞いて、そのまま部屋にまでやってきたようだ。
「はい、大丈夫です。皇子このまま入ってきて下さい」
韓媛からそういわれたので、大泊瀬皇子はそのまま彼女のいる部屋の中に堂々と入ってきた。
そして彼女も立ち上がり、皇子が自身の前までやってくると「大泊瀬皇子、どうもご無沙汰しております」と少し微笑んで、彼に挨拶をした。
そんな彼女を見て皇子も少しほっとしたような表情を見せる。
とりあえず立ち話しも何なので、2人は床に座って話しを始めることにした。
「韓媛様、今少し宜しいでしょうか?」
彼女はこの家に仕えている使用人の女性で、名を布津与といった。
「まぁ布津与、どうかしたの。とりあえず中に入ってきてもらって大丈夫よ」
韓媛にそういわれたので、彼女はそのまま静かに部屋の中に入ってきた。
彼女は丁度40歳になったばかりの女性で、彼女にも子供はいるようだが、その子供達は既に成人しているとのことだった。
「韓媛様、突然で申し訳ありません。先ほど韓媛様に会いたいと訪問されてきた方がおられまして……」
(え、私に会いに? 一体誰がきたのかしら)
葛城蟻臣が来るのはまだ先だと聞いているので、誰が自分に会いにきたのか彼女は全く想像がつかない。
それに布津与の様子もどこか戸惑い気味のように見える。
「それで、布津与。誰がこられたの?」
すると布津与は少しいいにくそうにしながらいった。
「それが今さっき大泊瀬皇子がこられまして、皇子が韓媛様に会わせて欲しいとおっしゃられました」
韓媛は意外な訪問者の名前にとても驚く。今はただでさえ大王が不在でとても大変な状況だ。なので当然彼も忙しくしているに違いない。
(どうして大泊瀬皇子がここにきているの?)
だが相手が自分に会いたいといってわざわざここまできている。ならばさすがに会わない訳にはいかないだろう。
それに前回の大王の暗殺のこともあるので、その件で何か自分に話しがあるのかもしれない。
彼女は葛城円唯一の近い肉親である。
「分かったわ。大泊瀬皇子に会うことにするわ。それで彼はこの部屋まできてくれるのかしら?」
「そうですね、ではその旨を大泊瀬皇子にお伝えしてみます。 それでもし何か問題があるようなら、また韓媛様に伝えに参りますので」
布津与はそういうと大泊瀬皇子に韓媛の伝言を伝えるため、彼女の部屋をいそいそと出ていった。
それから韓媛は自身の部屋で静かに待つことにする。
そして暫くして人の足音が聞こえてくる。誰かが彼女の部屋の前までやってきたようだ。
「韓媛、大泊瀬だ。中に入っても良いか」
どうやら彼は韓媛からの伝言を聞いて、そのまま部屋にまでやってきたようだ。
「はい、大丈夫です。皇子このまま入ってきて下さい」
韓媛からそういわれたので、大泊瀬皇子はそのまま彼女のいる部屋の中に堂々と入ってきた。
そして彼女も立ち上がり、皇子が自身の前までやってくると「大泊瀬皇子、どうもご無沙汰しております」と少し微笑んで、彼に挨拶をした。
そんな彼女を見て皇子も少しほっとしたような表情を見せる。
とりあえず立ち話しも何なので、2人は床に座って話しを始めることにした。