韓媛は炎の燃え盛る建物の中を、必死で走って逃げていた。家の中に入ってきた時よりもさらに炎の勢いが増している。
(早く逃げないと、間に合わなくなる)
すると建物の柱が韓媛の横から倒れかかってきた。
彼女が慌ててその柱を避けると、その柱は彼女の後ろに倒れ込んだ。
そのため彼女はもう後ろには戻れなくなってしまう。
「こうなったら、もう前に進むしかない」
彼女が急いで前に行こうとした丁度その時、いきなり大きな炎が壁となって目の前に現れた。
「どうしよう、これじゃ前に進めない。後ろも柱が倒れてるから他の道にも行けないし……」
韓媛はこの状況にかなり焦りを感じた。自分は挟み撃ちになってしまい、前にも後ろにも進めなくなった。
どうしたら良いか分からなくなった彼女は、とっさに短剣を腰紐から取り出し、鞘からも出した。
「このような使い方ができるのか分からないけど」
その時だった、燃え盛る炎の向こうから人の声がしてきた。
「おい、韓媛。どこだー!!」
その声の主は何と大泊瀬皇子だった。どうやら彼は彼女を探しにきたようだ。
(大泊瀬皇子が私を探しにきてくれたの?)
「大泊瀬皇子! 私はここにいるわ!!」
韓媛もそんな大泊瀬皇子の声に答えた。
どうやら大泊瀬皇子も、そんな彼女の声を聞き取ることができたようだ。
「韓媛、この炎の向こうにいるのか!」
だが目の前にある燃え盛る炎を、彼にはどうすることもできない。
(大泊瀬皇子がこの先にいる。どうにかしないと)
韓媛の方もそんな状況を目の前にして、こうなれば一か八かやってみるしかないと思った。
彼女は意を決して短剣を握り締めて強く祈ってみる。
(お願い、どうか助けて!!)
するとまた急に剣が熱くなってくる。そして彼女の脳裏に燃え盛る炎と、その先にいる大泊瀬皇子の姿がうっすらと見える。
きっと今ならこの災いを断ち切ることができる。そう確信した彼女はその光景の中で燃え盛る炎に向かって、思いっきり剣を振った。するとまた『パチッ』と音のようなものがする。
そこで彼女がはっと目を開けると、それから何とも不思議な現象が起こり出した。
周りで燃えていた炎が不思議と集まっていき、目の前の炎の壁にぶつかっていった。
すると何とその炎が真っ二つに割れてしまう。
そして道ができ、その先には大泊瀬皇子が立っていた。
彼もこの光景を見て、とても驚きを隠せないでいる。
大泊瀬皇子はその光景を見て思った。
「何なんだこの現象は……これではまるで伝説の英雄、日本武尊を見ているようだ」
これはかつて日本武尊が、野中で敵に火を放たれて火攻めに遭遇し、そこを天叢雲剣で切り抜けた時の話しである。
(早く逃げないと、間に合わなくなる)
すると建物の柱が韓媛の横から倒れかかってきた。
彼女が慌ててその柱を避けると、その柱は彼女の後ろに倒れ込んだ。
そのため彼女はもう後ろには戻れなくなってしまう。
「こうなったら、もう前に進むしかない」
彼女が急いで前に行こうとした丁度その時、いきなり大きな炎が壁となって目の前に現れた。
「どうしよう、これじゃ前に進めない。後ろも柱が倒れてるから他の道にも行けないし……」
韓媛はこの状況にかなり焦りを感じた。自分は挟み撃ちになってしまい、前にも後ろにも進めなくなった。
どうしたら良いか分からなくなった彼女は、とっさに短剣を腰紐から取り出し、鞘からも出した。
「このような使い方ができるのか分からないけど」
その時だった、燃え盛る炎の向こうから人の声がしてきた。
「おい、韓媛。どこだー!!」
その声の主は何と大泊瀬皇子だった。どうやら彼は彼女を探しにきたようだ。
(大泊瀬皇子が私を探しにきてくれたの?)
「大泊瀬皇子! 私はここにいるわ!!」
韓媛もそんな大泊瀬皇子の声に答えた。
どうやら大泊瀬皇子も、そんな彼女の声を聞き取ることができたようだ。
「韓媛、この炎の向こうにいるのか!」
だが目の前にある燃え盛る炎を、彼にはどうすることもできない。
(大泊瀬皇子がこの先にいる。どうにかしないと)
韓媛の方もそんな状況を目の前にして、こうなれば一か八かやってみるしかないと思った。
彼女は意を決して短剣を握り締めて強く祈ってみる。
(お願い、どうか助けて!!)
するとまた急に剣が熱くなってくる。そして彼女の脳裏に燃え盛る炎と、その先にいる大泊瀬皇子の姿がうっすらと見える。
きっと今ならこの災いを断ち切ることができる。そう確信した彼女はその光景の中で燃え盛る炎に向かって、思いっきり剣を振った。するとまた『パチッ』と音のようなものがする。
そこで彼女がはっと目を開けると、それから何とも不思議な現象が起こり出した。
周りで燃えていた炎が不思議と集まっていき、目の前の炎の壁にぶつかっていった。
すると何とその炎が真っ二つに割れてしまう。
そして道ができ、その先には大泊瀬皇子が立っていた。
彼もこの光景を見て、とても驚きを隠せないでいる。
大泊瀬皇子はその光景を見て思った。
「何なんだこの現象は……これではまるで伝説の英雄、日本武尊を見ているようだ」
これはかつて日本武尊が、野中で敵に火を放たれて火攻めに遭遇し、そこを天叢雲剣で切り抜けた時の話しである。