「ここは何となく見覚えがある。前に狩りで来た事がある場所だ。それなら確か狩りのために小さな小屋が作られていたはず」
大和の皇族は度々この辺りに狩りをしにやって来ている。なのでその時に使用する小屋がどうやらあるようだ。
「とりあえず、今日はそこで体を休ませて、明日皆のもとに戻った方が良い」
大泊瀬皇子はふと韓媛を見た。彼女も今はだいぶ容態も安定はしている。だが先程まで生死をさまよっていた状態だ。余り無理はさせない方が良いだろう。
(それにさっきはどさくさに紛れて、彼女に少し触れてしまった。特に拒みはされなかったが……)
「とりあえず、お前の体に負担はかけたくないから、俺の背中につかまれ」
そう言って彼は、彼女の前で背中を向けて座ってみせた。
「そ、そのような事……皇子に悪いです」
だが彼は譲る気はないらしく、さらに彼女に催促する。
「いいか韓媛、お前は先程死にかけていた。 そんな状態のお前を歩かせる訳にはいかない。円だって今頃は娘のお前の姿が見当たらず、相当心配しているはずだ」
大泊瀬皇子にそこまで言われてしまうと、韓媛はよう言い返えす事が出来ない。
なのでここは素直に彼にしたがっておぶってもらおう。
そして皇子は彼女を背中におぶると、先程話した小屋を探して歩きだした。
「大泊瀬皇子、本当にご迷惑をおかけします……」
彼女は皇子に対して、とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいだった。まさか彼にこんな事をさせる羽目になるとは夢にも思わなかった。
「まぁ、今はその事は気にするな。どのみち明日戻ったら、円にはかなり叱られるだろうが」
韓媛もそれは覚悟している。あの優しい父親も、今回ばかりはかなり怒っているはずだ。
そして韓媛は、彼の背中にふと持たれた。
(皇子の背中は不思議と安心する。でも少し切ない気持ちにもなるわ……)
こうしてしばらく歩いていると、皇子が先程言っていた小屋が無事見つかった。
そして幸いにも、すぐそばに栗の木が茂っていたので、これを夕食にする事にした。
小屋に着くなり、彼は急いで火を起こした。そして小屋の中に服の代わりになりそうなものがないか探した。自分は大丈夫だが、韓媛をこのままにする訳にはいかない。
すると小屋の中に、大麻で作られた布がわりと沢山おかれている。
きっと狩りの際に、ここで休む時ように置いてあったのだろう。
彼はその布を持つと、外で火の前にいる韓媛に布を渡した。
「この時期に濡れたままだと風邪を引く、俺は見ないでいるから、服を脱いでこの布にくるまれ」
それを聞いた韓媛は、思わず顔を赤くした。いくら非常時とは言え、さすがに少し抵抗を感じる。
「そんな、皇子の前で……」
大泊瀬皇子はそんな彼女を安心させるため、少し優しめな声で彼女に言った。
「韓媛、今日はこれから気温はどんどん下がっていく。このままだと本当に体を冷やしてしまう」
そう皇子に言われると、韓媛もさすがに観念し、彼の言葉に従う事にした。
それから彼には後ろを向いてもらい、急いで服を脱いで布にくるまる。もうこの際、多少見えても仕方ないと彼女は思う事にした。
大和の皇族は度々この辺りに狩りをしにやって来ている。なのでその時に使用する小屋がどうやらあるようだ。
「とりあえず、今日はそこで体を休ませて、明日皆のもとに戻った方が良い」
大泊瀬皇子はふと韓媛を見た。彼女も今はだいぶ容態も安定はしている。だが先程まで生死をさまよっていた状態だ。余り無理はさせない方が良いだろう。
(それにさっきはどさくさに紛れて、彼女に少し触れてしまった。特に拒みはされなかったが……)
「とりあえず、お前の体に負担はかけたくないから、俺の背中につかまれ」
そう言って彼は、彼女の前で背中を向けて座ってみせた。
「そ、そのような事……皇子に悪いです」
だが彼は譲る気はないらしく、さらに彼女に催促する。
「いいか韓媛、お前は先程死にかけていた。 そんな状態のお前を歩かせる訳にはいかない。円だって今頃は娘のお前の姿が見当たらず、相当心配しているはずだ」
大泊瀬皇子にそこまで言われてしまうと、韓媛はよう言い返えす事が出来ない。
なのでここは素直に彼にしたがっておぶってもらおう。
そして皇子は彼女を背中におぶると、先程話した小屋を探して歩きだした。
「大泊瀬皇子、本当にご迷惑をおかけします……」
彼女は皇子に対して、とにかく申し訳ない気持ちでいっぱいだった。まさか彼にこんな事をさせる羽目になるとは夢にも思わなかった。
「まぁ、今はその事は気にするな。どのみち明日戻ったら、円にはかなり叱られるだろうが」
韓媛もそれは覚悟している。あの優しい父親も、今回ばかりはかなり怒っているはずだ。
そして韓媛は、彼の背中にふと持たれた。
(皇子の背中は不思議と安心する。でも少し切ない気持ちにもなるわ……)
こうしてしばらく歩いていると、皇子が先程言っていた小屋が無事見つかった。
そして幸いにも、すぐそばに栗の木が茂っていたので、これを夕食にする事にした。
小屋に着くなり、彼は急いで火を起こした。そして小屋の中に服の代わりになりそうなものがないか探した。自分は大丈夫だが、韓媛をこのままにする訳にはいかない。
すると小屋の中に、大麻で作られた布がわりと沢山おかれている。
きっと狩りの際に、ここで休む時ように置いてあったのだろう。
彼はその布を持つと、外で火の前にいる韓媛に布を渡した。
「この時期に濡れたままだと風邪を引く、俺は見ないでいるから、服を脱いでこの布にくるまれ」
それを聞いた韓媛は、思わず顔を赤くした。いくら非常時とは言え、さすがに少し抵抗を感じる。
「そんな、皇子の前で……」
大泊瀬皇子はそんな彼女を安心させるため、少し優しめな声で彼女に言った。
「韓媛、今日はこれから気温はどんどん下がっていく。このままだと本当に体を冷やしてしまう」
そう皇子に言われると、韓媛もさすがに観念し、彼の言葉に従う事にした。
それから彼には後ろを向いてもらい、急いで服を脱いで布にくるまる。もうこの際、多少見えても仕方ないと彼女は思う事にした。