韓媛は大王の妃となったのち、元々父親と住んでいた場所から割と近い所に、新たな住居を立ててもらい、今はそこで暮らしている。
そして大王が韓媛の元に着くなり、彼女は久々に例の大きな木の下に行かないかと提案を持ちかける。
これに対し彼も特に反対する気はなかったので、2人は歩いてそこに向かうことにする。
そして2人は今、その木の根元に座ってのんびりしている状態だ。季節も9月に入り、これからどんどん涼しくなるだろう。
大王は韓媛の膝に寝そべったまま、最近政りごとでかなり忙しくしていたので、今日は韓媛とゆっくり過ごそうと考えていた。
韓媛もそんな彼を思って、そっと頭を撫でてやる。それが意外に気持ち良いのか、彼はなすがままになっていた。
「なぁ、韓媛。最近考えていたのだが、俺の宮の側に再度住居を建てて、そこに住んでみないか?ここもたまになら俺が連れてきてやれる」
「え、大泊瀬の宮の近くに?」
韓媛もこの提案に少し驚く。彼女は彼の正妃ではない。正妃の草香幡梭姫でさえ、一緒に住んでいないのに、自分が彼の近くに住んで大丈夫なのだろうか。
また彼女は大王の妃なって以降は、彼のことを名前で呼ぶようになった。
これは韓媛本人がそうしたかっというよりかは、大王たっての希望だった。
本人曰く、それ以前から皇子とかではなく、本当は名前で呼んで欲しかったのだそうだ。
「あぁ、俺としては出来れば自身の宮で一緒に暮らしたい。だが草香幡梭姫の手前、彼女は文句はいわないだろうが、それは中々やりにくい……そこで、それなら俺の宮の側で暮らすようにすれば、いつでも会いに行けるだろ?」
「まぁ、一緒に住むことに比べればまだ可能なのかしら……」
大泊瀬大王的には、自身の親がそうだったように、それが本来やりたかった彼の家族の在り方のようだ。
「そうですね。でも私暫くは馬に乗っての移動が難しいので、来年以降になるかしら」
大泊瀬大王は、何故彼女が馬に乗れないのかと、ふと疑問に思った。
(韓媛は一体何をいっているのだ……)
「なぁ韓媛、どうして今は馬の移動が難しいんだ?」
彼はふと起き上がって、彼女にそう尋ねる。
すると彼女は、少し話しにくそうにしながら彼にいう。
「そのですね、実は私……」
(もう、早く彼にいわないと!)
しかし韓媛は、中々次の言葉が出てこない。
彼の方もそんな彼女を見て、一体何なんだと少し首を傾げる。
「おい、韓媛一体何があったんだ?」
彼は彼女がいおうとしていることが何のか、全く察しがつかない。
(まぁ、男性ってそういうものよね)
韓媛はついに覚悟を決めたようで、そのまま彼に歩み寄る。そしてその事実を告げた。
「あ、あのね、大泊瀬。実は、私どうも子供が出来たみたいなの……」
彼女はそういって恐る恐る彼の顔を見る。
大泊瀬大王の方も、その関連のことは全く予想してなかったようで、一瞬体が固まったようだ。だが直ぐに彼はその場で叫んだ。
「な、なんだって、子供だと!!」
彼は韓媛がこれまで見たことがない程の慌てっぷりを見せる。
実の兄弟や親戚すら殺した彼が、自身の子供が出来たぐらいでここまで動揺するのかと、韓媛も少し意外に思った。
そして大王が韓媛の元に着くなり、彼女は久々に例の大きな木の下に行かないかと提案を持ちかける。
これに対し彼も特に反対する気はなかったので、2人は歩いてそこに向かうことにする。
そして2人は今、その木の根元に座ってのんびりしている状態だ。季節も9月に入り、これからどんどん涼しくなるだろう。
大王は韓媛の膝に寝そべったまま、最近政りごとでかなり忙しくしていたので、今日は韓媛とゆっくり過ごそうと考えていた。
韓媛もそんな彼を思って、そっと頭を撫でてやる。それが意外に気持ち良いのか、彼はなすがままになっていた。
「なぁ、韓媛。最近考えていたのだが、俺の宮の側に再度住居を建てて、そこに住んでみないか?ここもたまになら俺が連れてきてやれる」
「え、大泊瀬の宮の近くに?」
韓媛もこの提案に少し驚く。彼女は彼の正妃ではない。正妃の草香幡梭姫でさえ、一緒に住んでいないのに、自分が彼の近くに住んで大丈夫なのだろうか。
また彼女は大王の妃なって以降は、彼のことを名前で呼ぶようになった。
これは韓媛本人がそうしたかっというよりかは、大王たっての希望だった。
本人曰く、それ以前から皇子とかではなく、本当は名前で呼んで欲しかったのだそうだ。
「あぁ、俺としては出来れば自身の宮で一緒に暮らしたい。だが草香幡梭姫の手前、彼女は文句はいわないだろうが、それは中々やりにくい……そこで、それなら俺の宮の側で暮らすようにすれば、いつでも会いに行けるだろ?」
「まぁ、一緒に住むことに比べればまだ可能なのかしら……」
大泊瀬大王的には、自身の親がそうだったように、それが本来やりたかった彼の家族の在り方のようだ。
「そうですね。でも私暫くは馬に乗っての移動が難しいので、来年以降になるかしら」
大泊瀬大王は、何故彼女が馬に乗れないのかと、ふと疑問に思った。
(韓媛は一体何をいっているのだ……)
「なぁ韓媛、どうして今は馬の移動が難しいんだ?」
彼はふと起き上がって、彼女にそう尋ねる。
すると彼女は、少し話しにくそうにしながら彼にいう。
「そのですね、実は私……」
(もう、早く彼にいわないと!)
しかし韓媛は、中々次の言葉が出てこない。
彼の方もそんな彼女を見て、一体何なんだと少し首を傾げる。
「おい、韓媛一体何があったんだ?」
彼は彼女がいおうとしていることが何のか、全く察しがつかない。
(まぁ、男性ってそういうものよね)
韓媛はついに覚悟を決めたようで、そのまま彼に歩み寄る。そしてその事実を告げた。
「あ、あのね、大泊瀬。実は、私どうも子供が出来たみたいなの……」
彼女はそういって恐る恐る彼の顔を見る。
大泊瀬大王の方も、その関連のことは全く予想してなかったようで、一瞬体が固まったようだ。だが直ぐに彼はその場で叫んだ。
「な、なんだって、子供だと!!」
彼は韓媛がこれまで見たことがない程の慌てっぷりを見せる。
実の兄弟や親戚すら殺した彼が、自身の子供が出来たぐらいでここまで動揺するのかと、韓媛も少し意外に思った。