「それでだな。実は今日お前に渡したい物があって、それを持って来たんだ」
彼はそう言うと、自身が手に持っていた包みものを開け出した。
韓媛も一体何だろうと思って見ていると、中から出てきたのはどうやら短剣みたいだった。
「お父様、これは短剣のように見えますが?」
韓媛は何故父親がこんな物を持って来たのか不思議に思った。
「これは昔からこの家にあった剣でな。何でも『災いごとを断ち切る剣』という意味がある剣なんだそうだ」
「『災いごとを断ち切る剣』ですか?」
韓媛からしたら、こんな剣がこの家にあったのは初耳である。
「あぁ、お前も14歳になったので、護身用も兼ねてそろそろ渡しておこうと思ったのだよ」
彼の話しによると、元々この剣は彼女の母親が自身の元に嫁ぐ時に持って来ていた物らしい。だがその母親が亡くなったので、ひとまず彼が預かっていたとの事。
「まぁ、このような剣がうちにあったなんて……」
韓媛はとりあえずその剣を手に持ってみた。元々護身用のためか、そこまで重くはない。
(これなら、女の私でも持てそうね)
そして彼女は鞘から剣を抜いてみた。少し古くはあるが、それなりに質は良さそうだ。
「お父様、これは私が持っていたら良いのですか?」
韓媛は、その短剣を色々と細かく見ながら彼に聞いた。
「あぁ、そのために持って来たんだ。本当ならお前の母親から渡すつもりだったんだが、彼女はもう亡くなっているので、私が変わりに渡しにきたんだ」
葛城円はそう彼女に説明した。
「この剣がどんな物なのかは、私も詳しくは知らない。その『災いごとを断ち切る剣』と言う意味も含めてな。だがきっと何かの役に立つこともあるだろう」
韓媛からしてみれば、姫が悪いものから守られるような、まじない的な物なのだろうと思った。それに短剣なので、何者かに襲われそうになった時でも使えるはずだ。
「分かりました。ではこれはありがたく受け取らさせて貰います」
韓媛はそう言って、剣を鞘に収めた。
「じゃあ、ここに長居しても悪いので、私は失礼するとする」
そう彼は言って立ち上がると、部屋の外に向かって歩きだした。
韓媛もそんな父親を見送る為、部屋の外の前まで行った。
そして円は、部屋の外の前でふと止まって彼女に言った。
「あ、そうそう。お前も今日大泊瀬皇子に会ったと思うが、皇子から何か変わった話しは聞いているか?」
「え、大泊瀬皇子からですか?確かに話しはしましたが、特にこれといって特別変わった話しは聞いてませんけど……」
韓媛は何故、父親がそんな事を聞いて来るのか、少し不思議に思った。
「いや、特に何もないならそれで良い。まぁ4年ぶりに来られたんだ、これからお前も皇子とは話しをする機会も増えるだろう……彼も一応は皇子だ、くれぐれも失礼がないようにしなさい」
彼はそう韓媛に言って、彼女の元を後にした。
(お父様、一体どうしたのかしら……)
韓媛はそんな父親の発言が少し気になった。
だが大泊瀬皇子がこれから度々来られる事になったので、それに対しての気配りなのだろう。
彼はそう言うと、自身が手に持っていた包みものを開け出した。
韓媛も一体何だろうと思って見ていると、中から出てきたのはどうやら短剣みたいだった。
「お父様、これは短剣のように見えますが?」
韓媛は何故父親がこんな物を持って来たのか不思議に思った。
「これは昔からこの家にあった剣でな。何でも『災いごとを断ち切る剣』という意味がある剣なんだそうだ」
「『災いごとを断ち切る剣』ですか?」
韓媛からしたら、こんな剣がこの家にあったのは初耳である。
「あぁ、お前も14歳になったので、護身用も兼ねてそろそろ渡しておこうと思ったのだよ」
彼の話しによると、元々この剣は彼女の母親が自身の元に嫁ぐ時に持って来ていた物らしい。だがその母親が亡くなったので、ひとまず彼が預かっていたとの事。
「まぁ、このような剣がうちにあったなんて……」
韓媛はとりあえずその剣を手に持ってみた。元々護身用のためか、そこまで重くはない。
(これなら、女の私でも持てそうね)
そして彼女は鞘から剣を抜いてみた。少し古くはあるが、それなりに質は良さそうだ。
「お父様、これは私が持っていたら良いのですか?」
韓媛は、その短剣を色々と細かく見ながら彼に聞いた。
「あぁ、そのために持って来たんだ。本当ならお前の母親から渡すつもりだったんだが、彼女はもう亡くなっているので、私が変わりに渡しにきたんだ」
葛城円はそう彼女に説明した。
「この剣がどんな物なのかは、私も詳しくは知らない。その『災いごとを断ち切る剣』と言う意味も含めてな。だがきっと何かの役に立つこともあるだろう」
韓媛からしてみれば、姫が悪いものから守られるような、まじない的な物なのだろうと思った。それに短剣なので、何者かに襲われそうになった時でも使えるはずだ。
「分かりました。ではこれはありがたく受け取らさせて貰います」
韓媛はそう言って、剣を鞘に収めた。
「じゃあ、ここに長居しても悪いので、私は失礼するとする」
そう彼は言って立ち上がると、部屋の外に向かって歩きだした。
韓媛もそんな父親を見送る為、部屋の外の前まで行った。
そして円は、部屋の外の前でふと止まって彼女に言った。
「あ、そうそう。お前も今日大泊瀬皇子に会ったと思うが、皇子から何か変わった話しは聞いているか?」
「え、大泊瀬皇子からですか?確かに話しはしましたが、特にこれといって特別変わった話しは聞いてませんけど……」
韓媛は何故、父親がそんな事を聞いて来るのか、少し不思議に思った。
「いや、特に何もないならそれで良い。まぁ4年ぶりに来られたんだ、これからお前も皇子とは話しをする機会も増えるだろう……彼も一応は皇子だ、くれぐれも失礼がないようにしなさい」
彼はそう韓媛に言って、彼女の元を後にした。
(お父様、一体どうしたのかしら……)
韓媛はそんな父親の発言が少し気になった。
だが大泊瀬皇子がこれから度々来られる事になったので、それに対しての気配りなのだろう。