「ごめんっ、私ちょっと行ってくる」


ふたりに頭を下げて、全力ダッシュ。



「あ、転校生ちゃん! 言い忘れてたことが……」

「っ、はう、あとでまた教えて~。ごめんなさい!」

「いや、でもこれは大事な──」



親切にしてくれてるのにごめんなさい、と心の中で謝りながら教室を飛び出した。

廊下をぱたぱたと走る。


もう、校舎広すぎるよ~。



……と、そこでとんでもないことに気がついた。


はた、と足を止める。


私、……職員室の場所知らない。


はああ、なんてこった……。
今朝は別棟の事務室で、担任の先生と待ち合わせだったしなあ……。



えーと、ここは2階でしょ。
1年生の教室が1階で、3年生の教室が3階……と考えると、残るは4階のみ。


た、たぶん4階だよね……っ?


階段を探して、校舎の一角、ひと気のない場所に出る。

ふと顔を上げると、エレベーターの扉があっ天て仰した。


さすが私立高校……。
急ぎの用なので、使うことをお許しください……。