「るなこ」
「なんですか……?」
「彼氏いないんならおれが可愛がってやろうか。胸大っきくなりたいんでしょ」
「は、う、……また冗談ばっかりっ」
だめだ……。
黒土くんのペースに乗せられないように頑張ってたのに、あっけなく乱される……!
「冗談じゃないよ。おれも最近ご無沙汰なんだ」
タオルを握った私の手に、黒土くんの手がそっと重なった。
触れた手が思いのほか熱くてびっくりした。低体温っぽそうだなあと、勝手に思ってた。
どういうつもり……?おそるおそる見上げたところで視線がぶつかる。
色素の薄いブラウンの瞳。
生気はないのに、不思議と引きつけられる。
引きつけて呑み込むみたいな。魔力を秘めてそうな、感じ。