私だって誰もが振り向くスタイルのいい女性になれるものならなりたいもん……。
……って、しょんぼりしてもしょうがないよね、早いとこ体拭いちゃお。
と、開き直ったのもつかの間。
「どうせ、今までの彼氏にろくに触ってもらえなかったんでしょ」
「…っ、へ、あ?」
とつぜんなんのハナシかと、ばくんと心臓が飛び跳ねた。
触ってもらえなかったって、え、ええと。
そもそも。
「か、彼氏って……わた、私……」
「うん?」
「…………いたことなぃ、です」
「そうなんだ。まあ、そうだろうと思ったけど」
そうだろうと思ったなら初めから言わないでよ。
話し方も動作もぜんぶ気だるげなのに、口だけはえらく達者な黒土くん。
余計なひと言を添えるのを忘れない。
もういちいち気にしてられないと思って、黙って体を拭いた。
首、胸、お腹。無心で拭き上げる。