〜大切な人〜


自分では気づかず、早足で自分の部屋に戻ってきたようだ。

「よしっ!片付けしよっか!」

私は気を紛らわす為に、何かをしなきゃ、そう思った。

「七瀬?」


朝陽が私の名前を呼ぶ。
その声は、心配しているようで、とても不安そうで。


「んー?」


それに気づいていながらも、私はとぼけた振りをする。


「なにかあった?」

朝陽は私の変化に気づいている。






下に住んでる人が。かつて愛した男なんて口が裂けても言えるわけないじゃない。


「ご近所付き合い、大丈夫かなー?って。」

私は嘘をつく。