「いやー、めっちゃ美人だったな隣の人」

101号室へ行く途中、朝陽がニヤケながら言った。

「すいませんねー!美人じゃなくて!」

と少しへそを曲げてみると、朝陽は拗ねんなよ〜と髪の毛をグシャグシャしてきた。


「ちょっと!これから挨拶なのに乱さないでよ」

私は手ぐしで髪の毛を整え、101号室のインターホンを鳴らす。

ガチャっと扉が開いたら、私はその扉で隠されてしまった。

「201号室に引っ越してきました、九条です。ほら、七瀬!」

ひょこっと扉の横から体を出し、よろしくお願いします。と頭を下げる。

すぐに顔をあげて相手の顔を見た瞬間、私は言葉を失った。


「...駿太(はやた)?」


私より少し背が高く、パッチリとした目と茶髪で少しパーマがかかった前髪は相変わらず鬱陶しそうで、懐かしさと切なさを感じた。


「七瀬...」