「ええっ、そ……そんなこと……」
国と人を守る騎士団長として、それでいいのか。しかし、人さらい事件の処理を思い出せば、たしかにそんな感じではある。
「それなら、私は、アルフの弱みになってしまうの?」
「いーえ、絶対に、弱みじゃないっすね。あり得ませんよ」
ブロンドの騎士はきっぱりと言うから、シルディーヌはホッと胸をなでおろした。直後に「待って?」と思う。
──大事だけれど、弱点ではない……って?
たとえばシルディーヌが人質に取られて、『女の命が惜しければ、武器を捨てろ』と言われても、絶対に武器を持ったままということだ。
平然として『まったく、惜しくないな』とか言いそうである。だって、シルディーヌがカーネルに楯にされたときは、怯むどころか攻撃しようとしていたのだ。
──すごくリアルに想像できるわ。完全に見捨てられるわよね……? 私が大事ではないの??
ブロンドの騎士の言葉を信じるならば、自分がいないところで砕かれるのはダメだけど、見ているところではいいのかもしれない。
なんてドSなんだろうか!
あり得ないと信じたい。