アルフレッドが不在なだけで、不審者が入り放題だなんてとても危険だ。
「もっと、門の警備員を増やした方がいいと思うわ?」
「副団長の指示で、今はわざと隙を作ってるんですよ。団長が戻る前に正体を掴んでおかないと、非常にマズイとかで。大いに泳がせてます」
「でも、アルフが帰ってくるのは明日だわ。間に合わないみたい」
「ええ、まあ、そうなんですけどね。マズイことはマズイけど、大丈夫っす。とりあえず、団長の大事なもんさえきっちり守っておけば、ぜ~んぜん、OKっすよー」
ブロンドの騎士はお気楽そうに言うから、王宮に諜報員が入り込んだことは、大した問題ではないように聞こえる。
でも、シルディーヌには、どうにも気がかりなことがあった。諜報員が知り得た情報で、アルフレッドの身に危険が及ぶ可能性はないのか。
もしも、それが……。
「あ、あのっ、その大事なものって、ひょっとして、わ、私だったりするのかしら?」
「そりゃ、そーっすよ。シルディーヌさん以外は、道に転がってる石と同じじゃないっすかねぇ。団長がいない間に踏まれようが、砕かれようが、捨てられようが、一向に構わないって感じっす」