あの子たちも数年経てば彼らのように擦れてしまうのだろうか。あくびで出た涙をぬぐう護衛たちを眺めた。
──ほんとうに、やる気がないわ……。
とはいえ、シルディーヌも護衛は必要ないのでは? と思っている。
あれからカメリアの姿を見ることがないし、西宮殿に出入りをしているものの、特に目立った動きもないというのだ。彼らを咎めることはできない。
団員に朝の挨拶をしようとすると、にわかに侍女たちが集まってきた。
「やったわ、今日もいらしてるわよ」
「逞しくていらっしゃって、やっぱり素敵だわ~」
「騎士さまは、どうしてこちらにいらしているの?」
団員が迎えにきているのを目ざとく見つけた侍女から広まって、たった三日目だというのに数十人が見に来る状況になっている。
その中を彼らの元に歩いて行かねばならないのだ。『なんであの子が!?』という視線をひしひしと感じて、どうにも居たたまれない。
ペペロネたちが「護衛の訓練」だと説明してくれているから、侍女たちから質問攻撃を受けずに済んでいるのは幸いだ。
「おはようございます。お願いします」