騎士団長のご帰還
護衛付きで往復すること二日が過ぎ、三日目を迎えた朝、シルディーヌはふぅっとため息をついた。
新入団員の護衛は最初の一度だけで、あとの往復は騎士団員が二名ずつついている。
朝と晩はメンバーが違うが、たいてい気だるそうな態度でシルディーヌが来るのを待っているのだ。
『なんで俺たちが侍女を護衛せねばならんのだ』と、しっかり顔に書いてあり、シルディーヌはつい『あ、もういいわ。私はひとりで行けるから』と言ってしまいそうになる。
「でも、それを言ってしまったら、いけないのよね……」
おそらく今朝も、そんな感じなのだろう。
侍女寮の玄関前にいけば、今朝の騎士団員は大あくびをしていた。
直立不動でシルディーヌを待っていた新入団員たちは、初々しくて可愛かった。