厳密に言いますか?

「さぁ、始まりましたよ?」
「うるさいですよ。あんた誰っすかまず。」
「私の名前、知る必要あります?」
「いきなり足一本縛り上げて旧商店街のアーチに逆さ吊りにしてくる奴の名前ぐらい聞いておきたいわ。」
「えぇ〜?どぉしよっかなぁ?」
「...」
「じゃあこうしますね?」


数時間経っている感覚があるが、あいつの容姿も名前もわからなかった。というか、首の感覚がおかしい。そしてここは地面か。
私の周りに人が集まっている感じがする
だってうるさいんだもん
体が宙に浮いた。
いや、持ち上げられてるみたいだ。
何かに乗せられて
肉体が上下する感覚とともに
割と狭い...いや、どうなのだ?まぁとりあえず空間に入れられた気がする。
ガタガタと揺れる感覚があるが、ほぼ揺れてはいない。(?)
何かが鳴っている
なにがなってる?
えぇ?あぁ。うん。わからん。
ベッドに居る感覚がする。
ものすごい足音とともに台車ほど乱暴でも無いが何かに運ばれている感覚がする
そして気がつく。

「首の骨...折れてますよね?」
「医者なのに診てくれないんですか?」
「はい、死確。儂にはわかるんだよ。」
「ちょっと待ってくださいよ。」
「じゃぁねーばいばーい?」

なんという医者だ。職務放棄にも程がある。
首の骨折れてるって言って死確って言った挙げ句にバイバーイって言って病室から追い出すとか...
「ニンゲンじゃねぇ...」
「儂に何か言ったかい?」
「..?状況が掴めないんですけど。」
「厳密に話そうかい?」
「結構です。」
「じゃあ早く寝てなさい?君の病棟は704号室だ。ちなみにここは1階だよ?」
「なにも7階で診察してくれればよかったのに。エレベーターもなさそうだし」
「黙れ若いの。」
病室に行く途中に倒れたようだ。
しかも死んでる。
死因は失血死。
首の骨が折れたあたりで終わったなとは思ってたんだけどあのジジイ頭にくるからな。

「厳密に言いますか?」
「あなたは誰ですか?」
「それも含めて」
「一応誰かだけ」
「あなたを旧商店街のアーチに逆さ吊りにした人です。」

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