結局、俺は小心者だと実感しながら高校を卒業した。

そのあとの廉が何をしていたかは知らない。

俺は短大に言って卒業して、今は就職している。

最近、就職したばかりで不慣れな仕事をこなしながら、一人暮らしをしている。

仕事場の人はみな、とても優しくて教え上手だ。

「廉は高校卒業後、何してたんだ？」

久しぶりに会ったので、色々聞こうと思った。

でも彼は一瞬だけ悲しそうな表情した。本当に一瞬だったので、俺の見間違えかもしれない。

「………家族の手伝い……かな」

「………ふーん」

何か怪しい。前は家族のことを聞くと楽しそうに話してくれたのに、今は聞くなと言われてる気分だ。

「……恋人でもできたか？」

知りたくもないことを聞いてしまった。これだけ可愛いんだ。モテるんだろうな。

「う〜ん……よく色んな人に告白されるんだけど、全部断ってるんだよね。昔っから好きな人がいて、その日のことを忘れられないから………」

要は、その人と付き合いたいってことか。

「そりゃ告白するしかないんじゃないのか？」