自分の気持ちは言わずに、俺は微笑むことだけしといた。

「暇なら付き合えよ。(コイツ)の散歩、一緒に行こうぜ」

同性って本当に楽だなぁ。

一緒に行きたかった。一人だと暇だし、話し相手が欲しかったんだ。

そう言えば、大抵の人は素直に聞きいれてくれる。

優しい廉なら特にそうだろう。

異性だと、誘うのに一苦労するが、同性だとそういうことを考えなくて済む。

本当に俺は同性を好きになって良かったように思う。

でも世間は同性愛者を許してはくれない。結婚がそうだろう。

同性愛者を許してくれないから、庶民は結婚できないのだ。

結婚するために海外に飛べばいいが、そんな簡単なことが出来るわけがなかった。

それにそもそも廉が俺を好きだとは限らなかった。

高校卒業までずっと一緒にいた。何度も告白しようと試みたがダメだった。フラれるとわかっていたから。否、そんな勇気がなかったのだ。