窓を閉めたら

朝日奈がオレの隣に座った



「寒い?
ごめん、すぐ温かくなると思うけど…」



「ねー、星野…」



「なに?
あ、もぉ出掛ける?
それなら…」



エアコンを消そうとしたら

朝日奈がオレの腕を掴んだ



「すごい、好きかも…」



「え…?なに…?」



「私、星野のこと
すごい、好きだな…って…」



「なに?急に…」



「急でもないけど…
星野のこと、なんか…
前よりずっと…好きになってて…
一緒にいれて嬉しいな…って
今思ったから…」



朝日奈

それ以上

言わないで…



なんか熱くなって

また窓を開けたくなる



朝日奈が

オレに抱きついた



ギュッて

細い腕で



華奢な身体が

オレを精一杯

抱きしめてる



「ねー、星野…好きだよ」



「んー…」



目が合って

引き寄せられるみたいに

キスをした



ーーー



あの時と

違う部屋にいるみたいだった



冷たくて

虚しい気持ちしか残らなかった

あの夏



まだ忘れられなくて

苦しくなる時がある



ごめんね

朝日奈



オレ

なんで

あんなバカなことしたんだろ



「ねー、星野…
ホントに、大好きだからね」



「朝日奈、ありがと…」



「ん?なにが…?」



こんなオレを

好きになってくれて



「ん?…好き…朝日奈、好きだよ」



ーーー

ーーーーー



あの時も

オレには

その気持ちしかなかった



朝日奈しか

いなかったらよかったのに…



ーーー

ーーー



今日は

髪をおろしてる朝日奈が

大人っぽくて

違う人みたいに見えた



「今日は耳、冷たくない?」



朝日奈の伸びた髪を耳に掛けて

耳を触った



「今、熱くなった」



朝日奈が恥ずかしそうに言ったから

オレも恥ずかしくなった



「ばあちゃん、どおしてるかな?」



照れ隠しで言った



一気にこの部屋が

東京だっていうことを

忘れる



「この部屋にカメラが付いてて
おばあちゃん見てるかもね」



「ホントに見てそうで、怖い」



ふたりで笑った



ばあちゃん

寂しくないかな…



「飲み物飲んだら出かけようか?

朝日奈
行きたいところいっぱいあったじゃん」



「うん、もう少しゆっくりする」



朝日奈は

オレの胸に

優しく言った



朝日奈を抱きしめた



また

この部屋が

温かい部屋になる