冬が来て

朝日奈の耳はいつも冷たそうだった



オレが触ると

朝日奈はくすぐったそうにした



「星野の手
なんでいつも温かいの?」



「朝日奈の耳が冷たいんだろ」



「手も冷たいよ」



「冷た!」



オレの手を掴んだ

朝日奈の手も

冷たかった



朝日奈の手を

オレのコートのポケットに入れて

毎日一緒に帰った



店長は

相変わらず

ガラス越しに手を振ってきた



「東京行ったら行くところ決めた?」



「うん、楽しみだな」



東京に行くのが楽しみな

朝日奈



朝日奈と一緒にいたい

オレ



目的は違うけど

冬休みが待ち遠しかった