「ふふふ、買い過ぎ。」

舞が笑って詩織に言った。

「ゆーて、皆もだから。」

詩織も笑って言った。

皆の前には、ポテト、たこ焼き
はしまき、肉巻きおにぎり、焼き鳥
炭火焼き、イカ焼きが置かれている。

キンキンに冷えたお茶やジュースもある。

それとは別に、詩織の手にはカキ氷
舞の手にはりんご飴
裕子の手にはわたあめが。

「買い物も楽しかったね。」

「うん。あっというまだった。」

「んー、そして何より
裕子ちゃんカップルにおめでとうだよ!」

「うん。ありがとう。
本当、今日誘ってくれたおかげ。」

裕子もとっても嬉しそうだ。


「詩織ー、カキ氷ちょっと食わせてー。」

「裕子ちゃん、わたあめもー。」

「はいはい。」

「ふふふ、どうぞ。」

克幸も直樹も彼女にはメロメロだ。


そんな2組を前に

「舞ー、俺らもりんご飴食べよー。」

と克も甘えた声で言った。

「はいはい、バッグに入れちゃったから
ちょっと待ってね。」

舞が自分のバッグに手を伸ばす。


ズキンッ

「いたっ。」

痛みについ、声が出てしまった舞。
ぱっと舞は自分の足を押さえた。

「舞?ちょっとこっちおいで。」

克がシートの後ろに舞を呼ぶ。
おずおずと克の隣に座り直す舞。

「ほら、見せてみ。」

皆にわからないように
舞の足を指差して克が言った。

すっと足を伸ばす舞。
草履の鼻緒が当たる部分は
皮が剥けて、血が滲んでいた。