──遠坂くんは誰かに告白されたとき、一言目で『俺はあんたのこと好きじゃない。付き合うのは無理』と伝えているそうだ。

下手に相手に期待を持たせないように、はっきりと。


私には真似できそうになかった。



「……杉野くんは優しくて、誰に対しても分け隔てなく接して、勉強もスポーツもできるのにそれを鼻に掛けなくて、皆から愛されてるすごい人だよ」



ぼそぼそと私の口から出る声は、自分で思っていたよりもさらに小さい。



「だから、私のことを好きだって言ってくれたとき、本当にびっくりした。男子に告白されたことなんてなかったから、どうして良いのかわからなかったけど、嬉しかった」



嬉しかった。本当だ。

もし遠坂くんのことを好きになってさえいなかったら……きっと、杉野くんの気持ちを受け入れていただろうと思う。

だけど、そんな仮定はどこまでも無意味なんだ。