杉野くんは公園の入り口から一番近くにあったベンチに腰を下ろした。



「昨日はあんなに雨降ってたのに、今日すごい良い天気だったよね。地面も全然濡れてない」

「そうだね」

「でも在花ちゃんは今日も傘持ってきたの?」

「あ、これは昨日無くしたと思ってたら、傘置き場の奥に倒れてたのをさっき発見して」



そう、昨日あんなに探したのに見つからなかった傘は、今日になってあっさり見つかったのだ。



「なるほど。……修学旅行も晴れるといいな」

「うん」

「沖縄だと10月でも割と暑かったりするんだろうな」

「あー、そうかも」

「……ああごめん、天気の話ばっかだ。試合とかでもあんまり緊張しない方だけど、さすがに好きな子と二人でいるのは緊張するわ」



杉野くんのその言葉に、胸の辺りがキュッと締め付けられる。

何で……こんなに良い人が、平凡な私なんかのことを好きになってくれたんだろう。