「在花ちゃん。計画表完成してるのにわざわざオレと残ろうとしたのって……何か言いたいことがあったからでしょ?」
廊下を歩きながら、杉野くんは私に聞く。
私はそれに黙ってうなずいた。
「そっか。じゃあ、オレも部活ないことだし、一緒に帰りがてら聞かせてよ」
「うん」
一緒に帰るといっても、私が住むアパートまでは学校を出てからほんの十分ほど。
その間に話さないといけないのに……もう少しで家に着くというところまで来ても、私は上手く話を切り出せずにいた。
杉野くんは話すように急かしたりはせず、静かに私が話すのを待ってくれていた。
だけど、アパート付近の公園を通り過ぎようとしたとき、「ねえ」と私を呼び留めた。
「そこの公園のベンチでちょっと休まない?」
近くに住んでいるけど、一度も入ったことのない公園だった。
綺麗に整備されていて、小学生ぐらいの子どもたちが鉄棒で逆上がりの練習をしている。