由梨の申し出を断り、微笑んで見せる。
由梨は何かを察したようにうなずいた。
「わかった。じゃあ、よろしく」
私と杉野くんは帰っていく班員たちに手を振って見送る。
由梨だけは去り際に振り返り、私にだけ見えるよう口パクで「がんばれ」と言った。
「在花ちゃん。『手伝って』なんて言ってたけど……これ、もうできてるよね」
班員たちがいなくなったところで、杉野くんは計画表を指さして言った。
その通り。
滞在予定時間や移動ルートなど、計画表の必要事項は全て記入し終わっていた。
班員たちが見た全然終わりそうにない計画表は、実は予備でもらったもの。本当の紙は皆の希望を聞きながらさっさと仕上げていたのだ。
「実はこういう書類仕事みたいなの得意だから」
「知ってる。委員会のときも速かったもんな。提出してこようか」
杉野くんはそう言って、荷物を持って立ち上がる。
二人で先生からの確認を受けに行くと、無事帰って良いとの許可が下りた。