エンside
気づいたら俺は病院のベッドの上だった。
脇には上司であるやつがいて。頭を強く打ったとのことだったが、記憶の心配もなさそうだ。
「あーとりあえず無事でよかったわ。クロエには心配かけてんだからチャンと謝れよ。」
「ああ、ん？クロエって誰だ？」
「は？お前、クロエがわかんねーのか？」
「だから誰だよ。」
「…」

驚いた顔をして上司は出ていった。何やら慌てた様子で出ていったが、俺は何に驚いているのか全く分からなかった。先程出たクロエとかいうやつと関係があるのだろうか。

それから病室に入ってきたのは顔に少しかすり傷を負った女だった。自分をかばったせいであなたがこんなめにあってしまい申し訳ないと頭を下げていたが、自分のしたことだと。そちらにけががなくて良かったと伝えたら、なぜかかおを真っ赤にしていた。

そしてその顔でありがとうと笑った。その笑顔にどこか胸の奥が苦しくなるのを感じた。

それから慌てて入ってきたのは、上司と黒髪の女だった。女は小柄でどこかの店の店員なのかエプロン姿のままだった。俺が初めて見る顔だ。上司の彼女かというと、彼女は青ざめた顔で小さく噓でしょ。と言った。

傷の女はエプロン姿の女にも謝った。なぜ謝っているのか理由はわからない。