「そんな子どもみたいな態度で私と付き合えると思ってるの?だいたいね、潤くんが待っててって言うから待ってたのに私のこと放置しすぎなのよ。放置プレイは好きじゃないっつーの!だから私もお見合いするのよ。邪魔しないでくれる?」

「いーや、邪魔するね。もう俺だって大人の男なんだよ。好きな女がお見合いするなんて聞かされてどれだけ焦ってるか知らないだろ。いい加減、俺を好きになれよ」

ガシッと手首を捕まれ、振りほどこうにもその強さにはまったく敵わない。怒り口調だった潤くんの顔はだんだんと子犬みたいにしゅんとしなだれ、泣いてしまうのではないかというほどに眉が下がっている。

「……待たせて悪かったよ。でも俺だってずっとなぎに会いたかった。今だって好きな気持ちは変わらないよ。だからお見合いなんて行かないで……」

本当に、意味がわからない。
何でこんなにも自分勝手なの。
散々私を待たせておきながら、今さら行かないでとすがる潤くんはおかしいんじゃないか。だけどそんな潤くんをその場でバッサリ切り捨てることは私にはできなかった。

だって私はとっくに潤くんのことを……。