「そんなこと言って、姫乃さんはいつだってモテ期でしょー。お兄ちゃんが泣くよ」

「だぁー」

「ねー、ほら、レンくんもそう言ってる」

「ふふ。これを言うと樹くんに怒られるんだけど、私、樹くんより四歳も年上だからいつか飽きられるんじゃないかって不安なのよね。どんなに頑張っても埋まらない歳の差が気になっちゃう。子供を産むことだって、歳を重ねれば難しくなってくるでしょ。女性特有の気持ちなのかもしれないけど、樹くんはまだ若いから子供よりももっと自由に遊びたかったかなって思ったりもするよ」

「あー……なんかわかる気がする……」

姫乃さんの気持ちは抵抗なくストンと私の中に当てはまった。私もそう、潤くんは五歳も年下なのだ。アラサーになった私よりも若い子のほうがきっと可愛いし話も合うんだろうな。

「……ま、お兄ちゃんが姫乃さんを飽きることなんてないから安心して。あの人、姫乃さんしか見えてないから大丈夫」

「だったら嬉しい!」

不安げにしたと思えばテンション高く可愛らしく喜ぶ姫乃さん。私にも姫乃さんみたいな可愛らしさが備わっていればよかったんだけど、生憎そんな乙女な反応は持ち合わせていない。

潤くんがお見合いする相手はどんな人なんだろう。きっと由緒正しい家柄のお嬢様で、姫乃さんみたいに品があって可愛くて魅力的な人なんだろうな。

勝手な想像を膨らませては気分が沈んでいく。私はこんなに弱い人間ではなかったはずだ。こんなことでは先が思いやられる。