「誰、、?」
僕と勇は反射的に振り向いた。あんなに人の気配に気をつけていたのにいつのまにか部屋の入り口に立っている。
…でも僕はそんなことはどうでもよかった。
どうでもいいくらい、彼女が美しかった。つい見惚れてしまうほど。
「何やってんだよ!早く行くぞ!」
勇のその声で我に帰った。
「あ、あぁ、。急ごう。」
「、、、、、。」
「珍しいな、朔があそこまで気を取られるのって。」
「…勇、僕一目惚れしたかもしれない。」
「…は?」
「ずっとさっきの女の顔が頭から離れないんだ。」
「え、ほんとに言ってる?結ばれる確率相当低いけど。てか朔って好きな人とかできるんだ。」
「僕も自分でびっくりした。これが恋なのか。」
「…朔。やめとけ。ターゲットの娘を好きになるなんて無謀すぎる。向こうからすれば自分の親殺した相手を好きになるわけないだろ。」
「いや、向こうからすれば絶対僕の顔見えてない。フードかぶってたし逆光だったからな。」
「……まぁそうか。じゃあ頑張れよ、。」
僕らは初めて恋話というものをしながら屋根を乗り継いで行った。