小百合side
朔さんと浮気を始めてから1ヶ月が経った。
高貴さんはきっと私が浮気をしていることに気づいている。
それでも何も言ってこないのは本当に私に興味がないからなのだろう。
私に気がないのなら振ればいいのに。
彼が何を考えているのか全くわからない。
かと言いつつも私から別れを告げようとしたことは今までなかった。
彼と出会ったのは一年前。
前の彼氏に振られて元気がなかった私。
そんな時に高貴さんが入社してきて私にアタックをしてくれた。
私の寂しさはどんどん高貴さんによって埋められて。私達は付き合うことになった。
…だけど、付き合ってからというもの、高貴さんは急に私に冷たくなった。
話しかけてくる回数も急激に減ってまるで私は用済みのように扱われた。
最近となっては話しかけてきたと思えば「最近仲良くなった人は誰?」や「○○日に誰誰と一緒にいたでしょ?」などと不気味な質問をされるだけだ。
でも今日、高貴さんに別れを告げようと思う。
朔さんのことを信じ切っているからではない。
このままじゃお互いに好きではないままずっとこの関係を続けることになる。
だから、、
「小百合から一緒に帰りたいなんて言うの久しぶりだね…」
彼と仕事帰りに夜の道を歩く。
「…はい。今日は高貴さんに話があるんです。」
「…なんか、あったのかい?」
高貴さんは無表情で何を考えているのかわからない。
「高貴さんは私のこと、今でも好きですか?」
「もちろんそうに決まっているじゃないか。何を言ってるんだ。」
「私には、そう思えないんです!最近高貴さんなんかおかしいですよ。」
「…もしかして、気づいた?…」