謝られてあたしは少し慌ててしまう。

 確かにちょっと迷惑な部分はあったけれど……。


「そんな、謝らないでください。あたしは月原先生にはどちらかと言うとお礼を言いたいですし」

「お礼?」

「はい、陽呂くんを助けてくれてありがとうございました。おかげで、あたしは陽呂くんと出会うことが出来たから」

 笑顔でお礼を言うと、また眩しそうに目を細められた。


「……俺も、美夜に出会えたから。だから、本当に感謝はしてる」

 ふてくされている感じだけれど、陽呂くんも感謝を伝える。


「全く……本当にうらやましいね。……でも、君たちが出会ってくれたことは純粋に嬉しく思うよ」

 視線が渡瀬くんに向く。

「君を助けたことが、私のエゴで終わらずにすんだ……」


 そうして数拍間を開けると、幾分明るい声になった月原先生が困ったように陽呂くんに声をかける。


「それにしても渡瀬くん、まだ動けないかい? それほどの量を入れたつもりはないんだけれど……」

 どうやら月原先生は、話しながら陽呂くんが動けるようになるのを待っていたらしい。


「……ちょっとは動くんですけど……」

 と、手をグーパーしながら答える陽呂くん。