確か一人の吸血鬼に“唯一”は一人だけ。

 そして“唯一”の相手が誰かとかぶることはない。

 それを考慮すると、すでに陽呂くんの“唯一”であるあたしは月原先生の“唯一”にはなりえないはず。


「渡瀬くん、そんなに睨まなくても……違ってたから安心していいよ」

 体が動かない状態でも睨む陽呂くんに、月原先生は苦笑いを返す。


「……あの、“唯一”って他の吸血鬼と被ることはないんですよね?」

 ハンターで人間である安藤さんが知っているのに、当の吸血鬼である月原先生が知らないなんてことはないよね? と確認のために聞いた。


「ああ、そうだね」

 と肯定の返事が来たので、じゃあどうしてあたしが“唯一”なのか試すってことになったのかを聞こうと口を開く。

「じゃあ――」

「でも、自分の血を分けて吸血鬼にした相手が“唯一”を見つけたら? 血が同じなら、もしかしたら同じ人が“唯一”になるかもしれないだろう?」

 あたしが聞く前に、かぶせるように答えてきた月原先生は真剣な目をしていた。

 でも、すぐに諦めと悲しみの眼差しに変わる。

「まあ、そんなことはあり得なかったみたいだけどね……」

「先生……」

 どう声をかけていいのか分からない。