「うん。高校入ったその年に、一目惚れしたの。でも、全然話せなくて、今年に入ってやっと接点もてて、話せるようになったんだ。」
「それは、よかったね。」
「うん。」
彼女の話を聞くたびに、胸がどんどん苦しくなる。
こんな気持ち知らない。自分から、聞いたのになんでこんなに不快な気持ちになるんだろう。
「沙希は、好きな人いるの?」
そんなのいるわけない。そう答えようとしたのに、頭に優しい笑顔を向けた遥の姿が浮かんで思わず戸惑う。
「.....いるよ。」
私は、そうつぶやいた時、ずっと、頭にかかっていたモヤが晴れた気がした。
そっか、私は、彼女のことが好きなんだ。それがわかった喜びと同時に猛烈な痛みが私を襲った。でも、この想いはきっと叶わない。
「そっか。」
その問いを聞いた後、遥はすごく自然に笑った。でも、その笑いはなぜかとてもぎこちなくて、私の好きな遥の笑顔ではなかった。
そんな遥に声をかけようにも、何かいい言葉が浮かばない。
そんなとき唐突に遥が口を開いた。
「私ね、恋に憧れてたんだ。」
「えっ?」
彼女の話の意図が分からず思わず戸惑う。
そんな私の様子に気づいているはずなのに、彼女はそれを指摘することはなく、話を続けた。