「私のことは、遥でいいよ。」
そう言って彼女は優しく笑った。
「あっ、じゃあ、自分も、沙希で。」
「わかった。じゃあ、沙希。また明日ね。」
「うん。また明日。」
私の返事を聞いた後、彼女、もとい遥は、小走りに帰っていった。
その後ろ姿に思わず笑みが溢れる。
あの子と一緒なら、図書委員も案外悪くないのかな。
そんなことを思った時、胸が少し温かい気持ちになった。
なんで、こんな温かい気持ちになるんだろう。
不思議に思いつつも、それ以上考えることはなく私は、家へと帰った。