説教みたいに言ってしまったけど、僕は音楽に関しては何も知らない。僕は音楽を聞くことだけを楽しむ一般人だ。すると、麗音のお父さんは少しだけ悩んでから、
「ああ、そうだな……。たしかに耳が聞こえないからって全部を否定したのは間違いだった。君の言う通りだ」
「だったら……」
そう言いかけたところで今度は麗音のお父さんが口を挟んだ。
「でも、麗音が本当に演奏できるとしても文化祭とやらには行けない。私は本当は行きたい…。行って麗音が奏でる音楽を聞きたい。でも、私には行く権利がないんだ。」