「え?麗音の?麗音がなんかするのかい?」
「はい。だから、あなたにも来て欲しくて。」
そう話すと麗音のお父さんは少し難しい顔をしてから、
「悪いが……無理だ。私は麗音に会うことはできない。」
そう言われるのはだいたい予想はついていた。ここまでは想定通りだ。早すぎるが、切り札を出すことにした。
「……僕、知ってます。あなたが麗音さんのピアノと歌声を聞きたがってるの」
そう口にすると麗音のお父さんは驚いた表情を浮かべていた。
「………なんで君がそれを知っているのか知らないけど。麗音はもうピアノを弾けないんだ。だから…」