家の掃除が終わったのはもう夜で、最後のゴミ袋を外に出すことで一旦終了した。便器を素手で洗うように言った時、理央は驚愕しながら激しく抵抗したが…彩響は自分の経験から、こういう時どう説得すればいいのか既に分かっていた。結局彩響の説得に負けた理央は素手で便器を拭いた。「なにがクライマックスなのよ…」という苦情の声が上がってきたけど、彩響はあえてなにも聞いてないふりをした。
結構ハードなスケジュールで動いたおかげで、アパートは大変身していた。溜まっていたゴミはほぼ消え、気持ち悪かった臭いも消え、空気がスッキリするのを感じた。もちろん、それを見ている二人の気持ちもそうだった。ボーっとして周りをみる理央の肩を彩響が軽く叩いた。
「さて、気持ちはどうですか?」
「それは…気持ちいいね。このアパート、こんな広いと思わなかった。なんだか…隠れていた空間を見つけて…宝物を探した気分になってる」
その言葉に、胸がいっぱいなるのを感じる。とても嬉しい。きっと今はこの気持ちが何なのか、本人は分からないんだろうけど…。徐々にその感情が集まり、大きな光になる。今日はその一歩を一緒に踏み出したのだ。
ふとまだテーブルの上に置いてあった離婚届が目に入る。彩響はそれを手に取り、理央へ渡した。
「理央、これからどうするかは分からないけど、とりあえず私の話を先に聞いてほしい。離婚家庭で育った身として、そしてあなたの親友として、私は最善のアドバイスをしたい」
理央がうなずく。彩響は大きく溜め息をつき、理央の手をぎゅっと握った。決して楽しくなかった昔の話も、辛かった家族の話も、今なら素直に話せる。
「あなたも知っている通り、私離婚家庭育ちで、すごい苦労しながら育ったよ。母のこともすごい恨んだよ。でもそれは、決して「なぜ離婚したのか」に対する恨みじゃない。この歳になって改めて思うと…例え夫婦になったとしても、結局は人間関係だし、男女関係なので、やはりどうしようもないことだって絶対あると思う。だから、今まで生きてきて一回も母に「なぜ父と別れたんですか」と責めたことないよ。ただ…」
結構ハードなスケジュールで動いたおかげで、アパートは大変身していた。溜まっていたゴミはほぼ消え、気持ち悪かった臭いも消え、空気がスッキリするのを感じた。もちろん、それを見ている二人の気持ちもそうだった。ボーっとして周りをみる理央の肩を彩響が軽く叩いた。
「さて、気持ちはどうですか?」
「それは…気持ちいいね。このアパート、こんな広いと思わなかった。なんだか…隠れていた空間を見つけて…宝物を探した気分になってる」
その言葉に、胸がいっぱいなるのを感じる。とても嬉しい。きっと今はこの気持ちが何なのか、本人は分からないんだろうけど…。徐々にその感情が集まり、大きな光になる。今日はその一歩を一緒に踏み出したのだ。
ふとまだテーブルの上に置いてあった離婚届が目に入る。彩響はそれを手に取り、理央へ渡した。
「理央、これからどうするかは分からないけど、とりあえず私の話を先に聞いてほしい。離婚家庭で育った身として、そしてあなたの親友として、私は最善のアドバイスをしたい」
理央がうなずく。彩響は大きく溜め息をつき、理央の手をぎゅっと握った。決して楽しくなかった昔の話も、辛かった家族の話も、今なら素直に話せる。
「あなたも知っている通り、私離婚家庭育ちで、すごい苦労しながら育ったよ。母のこともすごい恨んだよ。でもそれは、決して「なぜ離婚したのか」に対する恨みじゃない。この歳になって改めて思うと…例え夫婦になったとしても、結局は人間関係だし、男女関係なので、やはりどうしようもないことだって絶対あると思う。だから、今まで生きてきて一回も母に「なぜ父と別れたんですか」と責めたことないよ。ただ…」