どういう風の吹き回しか、このナンパの相手と数回メッセージのやり取りをして、結局こうして食事まですることになってしまった。自分でも自分の行動に驚いている中、相手が明るい顔で自己紹介をし始めた。
「俺、設計事務所で働いている石井尊と申します。事務所ここから近いです。さいきさんはお仕事なにをされてますか?」
「あ、はい…雑誌の編集を…」
「そうだったんですね。あ、俺歳は27です。本当に来てくれてありがとうございます!」
(27か、成と同い年だよね…)
石井さんは見た目誠実そうで、喋り方もはっきりしていて、軽いノリでナンパをしてくるタイプには見えなかった。むしろ改めて見ると、とても好印象だった。理央が言ってたように、もしかしたら本当に「いいご縁」になるかもしれない。せっかくここまで来たから、彩響も気軽に考えることにした。
「私、30です」
「そうだったんですね。あの、以前も言いましたけど俺元々こんなナンパとか絶対しないんですけど、なんだかあの日はすごく声をかけたくて。気に障ったなら先に謝ります」
「ええ、まあ…」
「早速ですけど、さいきさん、彼氏はいますか?」
「え?いいえ、いないですけど…」
「だと思いました!あ、いない雰囲気とかそういんじゃなくて、ここに来てくれたからそうなんだなーと思っただけです。好きな食べ物は何ですか?」
「え、ああ、ビーフシチュー…とか?」
「お、しゃれてますね。俺、煮物は得意ですけどシチューは作ったことないんですよねー今度挑戦してみようかな」
石井さんはどうも自分のことが相当気に入ったようで、ずっとはしゃいでいる。そうか、最近の若い人はこんな感じなのか…と思いつつ、やはり同い年であるあの元家政夫さんのことを思い出してしまう。
(そう言えば、あの大掃除のあと、ハーゲンダッツ買ってくれた日…こういう話してた)
ー「ーで、彩響はなにが好きなの?」
ー「え?どうしたの、いきなり」
ー「言ったじゃん、プライベートな話もしたいって。好きな食べ物はなに?趣味とかある?」
もしこの場に成がいたら、そしてこんな合コンみたいな感じになったら…。
(あー駄目だ駄目だ、なんのためにここに来たんだと思うの、私!)
彩響がぱっと顔を上げ、レストランの壁に貼られてあるメニューを確認した。目的は一つ、それは…。
「ここ、お酒とかあります?」
「俺、設計事務所で働いている石井尊と申します。事務所ここから近いです。さいきさんはお仕事なにをされてますか?」
「あ、はい…雑誌の編集を…」
「そうだったんですね。あ、俺歳は27です。本当に来てくれてありがとうございます!」
(27か、成と同い年だよね…)
石井さんは見た目誠実そうで、喋り方もはっきりしていて、軽いノリでナンパをしてくるタイプには見えなかった。むしろ改めて見ると、とても好印象だった。理央が言ってたように、もしかしたら本当に「いいご縁」になるかもしれない。せっかくここまで来たから、彩響も気軽に考えることにした。
「私、30です」
「そうだったんですね。あの、以前も言いましたけど俺元々こんなナンパとか絶対しないんですけど、なんだかあの日はすごく声をかけたくて。気に障ったなら先に謝ります」
「ええ、まあ…」
「早速ですけど、さいきさん、彼氏はいますか?」
「え?いいえ、いないですけど…」
「だと思いました!あ、いない雰囲気とかそういんじゃなくて、ここに来てくれたからそうなんだなーと思っただけです。好きな食べ物は何ですか?」
「え、ああ、ビーフシチュー…とか?」
「お、しゃれてますね。俺、煮物は得意ですけどシチューは作ったことないんですよねー今度挑戦してみようかな」
石井さんはどうも自分のことが相当気に入ったようで、ずっとはしゃいでいる。そうか、最近の若い人はこんな感じなのか…と思いつつ、やはり同い年であるあの元家政夫さんのことを思い出してしまう。
(そう言えば、あの大掃除のあと、ハーゲンダッツ買ってくれた日…こういう話してた)
ー「ーで、彩響はなにが好きなの?」
ー「え?どうしたの、いきなり」
ー「言ったじゃん、プライベートな話もしたいって。好きな食べ物はなに?趣味とかある?」
もしこの場に成がいたら、そしてこんな合コンみたいな感じになったら…。
(あー駄目だ駄目だ、なんのためにここに来たんだと思うの、私!)
彩響がぱっと顔を上げ、レストランの壁に貼られてあるメニューを確認した。目的は一つ、それは…。
「ここ、お酒とかあります?」