そう言って先生は二つのノートを僕に手渡してきた。ひとつは僕らのあのノートだ。もうひとつは僕らのノートと色違いの同じデザインのノート。
「えーっと…これはなんですか?」
僕達のノートってことはわかってる。
でも、なんで先生から渡されたのが僕には分からなかった。
「ある人に君に渡して欲しいと頼まれたんだ」
ある人?咄嗟にその色違いのノートを開く。その字を見て言葉を失った。芽依の字だ。あの毎週のように見てきた独特の丸い字。
「これは………どういうことですか?」
全身の血の気が引いていく、こんな感覚は初めてだった。