「ひゃぁっ!?」
考え込んでいたらふうっと耳に息がかかった

「柚葉の声…?」

「ゆず、あほ」

「な、なぎちゃんのせいでしょ!」

「ん、」
しーっと私の口に人差し指を当てながら静かにこの場をやり過ごした



「な、なぎちゃんのバカッ!」

「いや、ばかはひど………」

「嘘、大好きだもん!」
そう言いながらニシシっと笑いかける

…………!?

「な…………て………れてる?」
顔をそらして口元に手を当てたなぎちゃんの耳が真っ赤で驚く

「ゆずに負けた気がして悔しい………さ、帰ろ」
ぼそっと呟いた最初の方は聞こえず、“さ、帰ろ”だけがはっきりと聞こえた

「うんっ!」
差し出された手に手に重ねる

その手が絡めるようにつながれた