太一とおばあちゃんの八百屋は、店を閉めるようだ。

おばあちゃんの意志をつがなくていいのかと尋ねたら、おばあちゃんの人生を横取りしたくないなどと、太一は不思議なことを言っていたが、一人でなんとかする勇気がないだけなんだと思う。

同じくらい顔を腫らした太一は、こたつに入り、力なく私に寄り掛かっている。

おばあちゃんは食事中に突然食物を吐いて倒れてしまい、それから何度か病院に運ばれたり、家に帰ったりを繰り返していたそうだ。

太一はお父さんにひどく叱られたと言っていたけど、太一が自分で何とかしたいと思う気持ちを、私以外の人はわかってあげなくていいと思った。

「ゆかちゃんもう帰っちゃう?」

一泊分の荷物しか持ってないけれど、そんなこと言われて帰れるような毛の生えた心臓は持ち合わせていない。

「今日はここにいるよ」

太一の、おばあちゃんの次に大事な私。


ゆっくりと、寄り添っていろんな話をした。

何もかわってない私に、太一は少しだけ笑った。