姉の子供の世話をして、夕飯の支度を手伝う。
こんなことを繰り返す日々に、不満も満足感もない。
特別、かわったこともおきない。

最初のうちはそんなもの。この生活に馴染んできたら、山とか谷とか壁とかでてきて、面白い人生になってくるんだろう。

チワワのさぶちゃんの、大きなあくびがうつる。

半袖から、いつの間にか長袖にかわっていた。
服を着替える余裕はあっても、怠惰な性格を変える余裕も、太一にメールを送る余裕もない。


そういえば理絵ちゃんから電話があった。無事に彼氏の転勤に同行できたようだ。
実家に帰ったことを何気なく告げたら、やっぱり怒っていた。

「結婚式には呼ぶからね」

と楽しそうに語る理絵ちゃんは、引き出物にはあの店の何がいいとか、記号の羅列を並べていた。
理絵ちゃんになりたい、そんな馬鹿げたことを思う私は、太一に会いたいなどと、もっと馬鹿げたことを思ってしまった。