商店街の端のパン屋でアルバイトを始めた。
午前中だけ店番をする。

給料は微々たるものだけどないよりはましだ。

店主と会話はほとんどしないし、お客もそんなに来ないから楽。

とにかく急いで決めた。

太一は、おばあちゃんのことが気に掛かって仕様がないようで、家からほとんど出ようとしない。

私も一時は毎日店に通ったが、働かない言い訳を、おばあちゃんに擦り付けたくなかったのでアルバイトを始めた。

おばあちゃんは時折おかしなことを言うだけで、体はピンピンしている。


おばあちゃんにアルバイトの話をしたらきっとまた、“ゆかりちゃんのパン屋さんに行ってみたい”と言い出すに違いない。

今日はうぐいす餡の入ったパンを買って帰ろう。